HIBINO NAOKO illustration

Diary

〈読んだ本〉仮面の商人( アンリ トロワイヤ著 /小学館文庫)

一部、二部、三部と章がわかれている物語です。
それぞれに驚きの展開が待っていて
「この後こうなるだろう」などという予想はぐるりとひっくり返されます。
創作、恋愛、見えない未来、何よりも「評価」が欲しくてたまらない若い作家を
描いた第一部。何かを掴もうともがいている人が読むと、この若い作家に
自分を重ねて、彼と一緒に苦悩の時間を送ることになりますよ。ギリギリギリ。
第二部ではその彼が、死後に評伝の出版を望まれるほどのベストセラー作家に。
生前の「無名の若い作家」を知る人たちが語る彼についてのあれこれは
本当に「第一部に出てきたあの若い作家」のことなのか?
死んでしまった人は、残された者たちによって
時には都合のよいように、また記憶違いや思い込みによって仕立てられた
仮面をあてがわれるものなのかと恐ろしくなる本です。死人に口なし!

語り継がれる世紀の悪人も、聖人の偉業も
親族が集まった時の「生前のあの人は◯◯だった」も
どこかの誰かのご都合にあわせて仮面をおしつけられた結果なのかしら、と
あれこれ疑いたくなってしまいます。

「仮面の商人」アンリ トロワイヤ著 /小笠原 豊樹翻訳(小学館文庫)

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この本に出会ったのは、グランフロント大阪(大阪梅田)にある紀伊国屋書店の
「〜50人に聞きました!老いも若きもまずはこの1冊から~はじめての海外文学」
フェアコーナーの端っこでした。
(この「仮面の商人」は、推薦をうけた50冊の横に
“おまけ”として並べられていました)
ぷうと棚に積もった埃を吹き飛ばしながら
推薦文のかかれたPOP をひとつずつ読んで「読みたい」に3册出会いました。
「はじめての海外文学」フェアは全国16店舗の本屋さんで開催中。
50册を紹介した「ちいさな冊子」も配布中です。
ちっとも知りませんでしたが、海外文学はあまり売れないのですか。
情報が少ないからかしら。
この「はじめての海外文学フェア」の棚の前には、中学生くらいの男の子と
ヒールの高い靴をはいた女の子と、念入りに厚着をしたおばちゃんと、私とが、
ぎゅうぎゅう並んで肩をぶつけながら本を選んでいました。
海外文学の未来は明るい!

「〜50人に聞きました!老いも若きもまずはこの1冊から~はじめての海外文学」