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Diary

〈読んだ本〉飛ぶ教室 (エーリヒ ケストナー著/新潮文庫)

ドイツの子供は、日本でいう小学校4年を修了したその後に
どんな種類の学校へ進むかによって将来がちがうものになってしまうらしい。
大学進学を目指すことのできる9年制の学校「ギムナジウム」、
職業訓練学校としての位置づけにある「実科学校(6年制)」「基幹学校(5年制)」と
わずか10歳で将来のアウトラインを決めなくてはならないドイツ人は、
幼くして背負うものが大きすぎる。
家庭の環境によって「背負わされる」子供もいるだろう。

ギムナジウムの寄宿舎で暮らす5人の少年たちはも
親に捨てられたり、家が貧しかったり、臆病すぎる自分に悩んだり
それぞれが何か事情を背負っている。
そんな5人がクリスマス直前のある事件をきっかけに、
仲間を救い、かばい、互いに勇気づけあうことで成長し、
それを見守る大人たちもまたすばらしい体験をする。
かつてギムナジウム寄宿生だったころの悲しい体験から
「少年達が心の悩みを打ち明けられる人間になろう」と舎監の道へ進んだ先生や
払い下げの鉄道車両を改装して市民農園で暮らしているわけありの男、
世の中が公平でないためか失業中の父親、
そんな大人たちも皆何かを背負って生きてきた。
けれども、この本にはこう書かれている
〈うまくいかないことがあってもたじろがず、運がわるくてもしょげないことだ!〉
打たれ強くあれ、そして知恵のある勇気をもて。
そうすると神様はちゃんと見ていて、
最高のクリスマスのプレゼントくださるに違いない。

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