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Diary

〈読んだ本〉呪文(星野智幸著・河出書房「文藝」より)

商店主の高齢化、ネットでの誹謗中傷、閉店が相次ぐなど
廃れた商店街の若手実力者がすすめる町おこしが、
とんでもない方向へ暴走する小説。
若き実力者はより良い町づくりのために商店会の組織改革や
経営指導などコンサルティング的な役割を担う一方で
町にふさわしくない住民や客、店までも排除するなど
その活動がどんどん過激化していく。
そしてその実力者に“認められなかった”サンドイッチ屋の店主も
「自分は排除される側の人間なのか」と悩み、腹を立て、
自らを責めながらついに過激な暴走をはじめる。

インターネット暴力、区別や排他の暴力、正義をふりかざす暴力、
この小説『呪文』には今の世の中を象徴する暴力が揃っている。
いろんな地域で町おこしが盛んに行われているけれど、
その価値観の「外側」にいる人にとっては地獄かもしれない。

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